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改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明
2006年12月に成立した改正貸金業法に基づき政府が設置した多重債務者対策本部は、これまでのところ、①多重債務相談窓口の拡充、②セーフティーネット貸付の充実、③ヤミ金融の撲滅、④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定し、深刻な社会問題となった多重債務問題の解決に当たってきている。
また、石川県を含め、全国の都道府県に多重債務者対策本部が設置され、当会においても、これに参加し、自治体との連携及び無料法律相談窓口の拡充などに努めてきたところである。
こうして、官民を挙げた多重債務対策を実施してきた結果、多重債務者が大幅に減少するなど、着実な成果が挙げられている。
そして、これまでに段階的施行を重ねてきた上記改正貸金業法は、いよいよ出資法の上限金利の引下げ、及び収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)等が実施されることで、完全施行されることとなる。
しかし、これら完全施行による多重債務対策立法の完成を間近にして、一部業界から完全施行を見合わせようという動きが出ている。かかる動きは、①消費者金融の成約率が低下しており、借りたい人が借りられなくなっていること、②特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより、資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加していることなどをその根拠としている。
しかし、中小企業者や個人の直近の資金需要を貸金業者に求めたとしても、返済能力を超えた借入、高金利による返済等が繰り返されるだけであり、何ら問題の解決には結びつかない。むしろ、改正貸金業法の段階的施行の中で得られてきた一定の成果すら後退する危険がある。これらの問題に対しては、相談体制の拡充、セーフティーネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などの施策により対応を図るべきである。
そこで、当会は、以下の施策の実現を強く求めるものである。
1.改正貸金業法を本年12月までに完全施行すること
2.自治体での多重債務相談体制の整備のため、相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること
3.個人及び中小企業者向けのセーフティーネット貸付を更に充実させること
4.ヤミ金融を徹底的に摘発すること
2009年(平成21年)10月22日
金沢弁護士会
会長 北川 忠夫