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商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明
商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明
近時、国会において、証券、金融、商品を一括的に取り扱う総合取引所の設立に向けた議論が重ねられている。本年6月19日、その議論がなされている衆議院経済産業委員会において、内閣府副大臣は、委員の質問に対し、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁を行った。
この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対して監督権限を有する金融庁が、総合取引所における商品先物取引における法規制について、不招請勧誘禁止を撤廃することを検討していることを示すものである。しかし、これは、以下に述べるような不招請勧誘禁止規制が導入されるに至った経緯や昨年8月に経済産業省産業構造審議会商品先物取引分科会が公表した報告書(以下、「商品先物取引分科会報告書」という。)を軽視するものであり、看過することができない。
商品先物取引は、その仕組みが複雑で消費者に理解し難く、かつ、リスクの高い取引である。そのため、悪質な業者が突然の電話や訪問による勧誘によって商品先物取引の知識や経験に乏しい消費者を取引に引きずり込み、深刻な被害を与えてきた。商品先物取引に関する不招請勧誘の禁止規制は、そのような事実等に鑑み、商品先物取引による消費者被害を未然に防止するという観点から、2011年1月に導入された。その後、国民生活センター等へ寄せられた商品先物取引に関する相談件数は減少傾向にあるものの、未だ相当数の相談が寄せられているところであり、被害の根絶には至っていない。
また、商品先物取引分科会報告書においても、「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実態を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである。その上で、将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である。」とされ、商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制を維持することが確認されている。
このように、商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制の維持は、昨年8月に公表された商品先物取引分科会報告書において確認されたばかりである。それにもかかわらず、上記公表からわずか1年しか経っていない時期に、何らの検証もなく、規制を撤廃する方向で検討することは、不招請勧誘禁止規制が導入されるに至った上記経緯及び商品先物取引分科会報告書の内容を軽視するものであり、極めて不適切である。
以上のとおり、総合取引所の下でも商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制は維持されるべきであり、当会は、同規制の撤廃に強く反対する。
以上
2013年11月28日
金沢弁護士会 会長 西 井 繁