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会長からのご挨拶
1 2024(令和6)年度の金沢弁護士会会長を務める髙木利定です。
1年間、6名の副会長とともに会務に粉骨砕身邁進いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。2 世の中の潮流からみて、弁護士会が重点的に取り組むべき課題は、災害対策とITデジタル化への対応だとつねづね考えていました。
そうしたところ、2024(令和6)年1月1日、能登半島において1000年~2000年に一度といわれる巨大地震が発生し、200名を超える尊い命が奪われました。阪神淡路大震災では「建物倒壊」「大規模火災」、東日本大震災では「津波」による甚大な被害がありましたが、今回の能登半島地震ではそれらがすべて発生してしまいました。3 金沢弁護士会においては、発災翌日に災害対策本部を設置するとともに、1月4日から電話による無料法律相談を実施しております。開始から1か月で300件を超える相談が寄せられました。また、避難所等においても、被災者支援制度の説明会や個別相談を行っております。
4 これら相談のなかで、債務に関する相談が増えています。災害により生活基盤・事業基盤が失われ、住宅ローンや事業性ローン等を弁済することができなくなった個人の債務者には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づいて、生活や事業の再建を支援する制度があります。この制度には、破産手続と比べて手元に残すことができる財産が多い、原則として保証人に対する保証履行が求められない、債務整理をしたことが信用情報機関に登録されないといったメリットがありますので、お困りの方は弁護士会や金融機関にご相談ください。
5 また、地震により隣家等とのトラブルが発生する事例もあります。このような場合、裁判ではなく、話合いによる解決を図る制度として、ADR(裁判外紛争解決手続)があります。金沢弁護士会においても、弁護士が中立公平な立場からあっせんを行い、当事者双方の互譲により、迅速かつ柔軟な紛争解決を図る制度がありますので、是非ご相談ください。
6 弁護士の使命は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することです。弁護士は、この使命に基づき、誠実にその職務を行い、法律制度の改善に務めなければなりません。
私たちは、被災者に寄り添い、将来に対する不安を払拭できるように、法律相談、債務整理、ADR等に取り組むとともに、被災者の生の声を集約して運用改善や政策提言をしたいと考えています。
被災者支援という大きな枠組みのなかでは、弁護士会や弁護士ができることはもちろん限られたものですが、金沢弁護士会が一致団結して、会を挙げて、復旧復興支援にあたりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。2024(令和6)年4月1日
金沢弁護士会会長 髙 木 利 定